「東京の農業」を考える(6) | 雨に濡れても‥中沢新一

「東京の農業」を考える(6)

遺伝子組換え作物の<MANDALA>

    <縁>の座:「東京の農業」を考える

        座 長:中沢新一さん(中央大学教授)


2 人間と農業のかかわり


 この問題を考えていくと、たぶん、本来のこの集まりのテーマである、遺伝子組換えの問題というのが、より広い視野で照らし出されるのではないかと思います。
 遺伝子組換えの問題というのは、科学技術の問題と深くかかわっています。科学技術が植物を対象にして、その遺伝子を操作できるようになる技術を開発しています。そして、これを農業の領域に適用しようとしている。これに抵抗する人々もいる。
 あるいは、農業を産業としてとらえた場合、この遺伝子組換えというのは、いまの状態では、はたして産業としてこれが可能なのか、有効なのか、それともそんなものは本当の幻想なのか、まだよくわからない状況にいますけれども、とりあえず、これを産業のためによいとして、アメリカ人と同じように、そちらの方向へ進もうとしている人たちもいます。
 しかし、農業のなかには、何か科学がおこなおうとしている行為とは違う原理が含まれているようです。それがいったい何なのかということを、見極めてみたいなと考えているわけです。